千手観音菩薩像(せんじゅかんのんぼさつぞう)は、仏の世界で第2位に位置する菩薩(ぼさつ)グループに所属する仏さまです。
菩薩のなかにもチームがあります。
チーム名は観音菩薩(かんのんぼさつ)。
千手観音菩薩像はお名前の通り、千本の手で、あらゆる願いに対応する、やさしさたっぷりの仏さまです。
別名「蓮華王(れんげおう)」。
観音さまたちのリーダーです。
千本の手の意味、持ち物や有名な千手観音像もご紹介します。
千手観音像の手の数、千本の手の意味は?
正式なお名前は
「千手千眼観自在菩薩(せんじゅせんげんかんじざいぼさつ)」と言います。
生きているすべて人や命あるすべてのものを救ってくださる、大きな大きな慈悲の力を表現する菩薩さまです。
お名前からわかるように、千本の手を持っていらっしゃいます。
「千眼(せんがん)」とは?
千本の手、すべての手のひらに眼を持っていらっしゃるんです。
名前のとおり、千手(せんじゅ)千眼(せんがん)!
手のひらに眼とは、びっくりですよね。
でも、どうして千本もの手や眼が必要だったのでしょうね。
人の苦しみや悲しみ、想いは人それぞれ違います。
人間関係で悩んでしたり、悲しいことが続いていたり、身体の調子が悪かったり・・・。
千手観音像は、その人その人に合わせて、どんな時でも人々を救うことが出来るようにと、ありとあらゆる救済の手段を生み出し、千の手を持つようになったそうですよ。
仏教では、「千」は「無限」を意味します。
千手観音は無限の力で人々を救うとされることから、観音菩薩の中でも特に力が強い仏さまと言われています。
観音の王=「蓮華王(れんげおう)」とも称されます。
千手観音は優しさ、力の強さ、全てを兼ね備えた観音さまたちのリーダーなのですね。
とても素敵な仏さまです!
千手観音像の手の数は本当に千本ある?
千手観音像は「千の手」を持つと言われています。
しかし、仏像として表現される場合は、手は42本であることが多いです。
それでは千手(せんじゅ)になりませんね
なぜでしょうか・・・?
手が42本の理由
千手観音像は、胸の前で合掌した2本の手と、体の周囲に広がる左右20本づつ、計40本の手(脇手)を合わせて、合計42本の手を持っていらっしゃいます。
千手観音像の1本の手は、25の世界と救うとされています。
※25の世界:仏様がいらっしゃる天上界から地獄までの間には、25に分けられた世界があるといわれています。
40本のそれぞれの手が、25に分かれた世界に住む人や、命ある物を救うことから、40×25は1.000と考えられています。
1本の手で25人を救います。その手が40本ありますので、1000人を救います。
菩薩のお仕事は、如来になるために修行をしながら、人々を救うことです。
千手観音像はたくさんの手をもっていらっしゃるので、菩薩の中でもさらに、多くの悩み苦しんでいる人を救ってくださるのですね。
千手観音像の手の数の意味を知ると、ありがたい気持ちになりました。
千手観音さまに会いに行きたい!
千手観音像の手の数、手に持っている持ち物は?
千手観音像は、ほとんどの手に物を持っていいらっしゃいます。
これらを「持物(じもつ)」と呼びます。
それぞれの手には、ありとあらゆるものを持っていいらっしゃいます。
たとえば、
蓮の花
数珠(じゅず)やお経の本などの法具。
知恵を授けてくださる鏡。
良き友にめぐり会える矢。
悪を断ち切る武器。
などなど。
なかでも私が気になった持物がふたつあります。
ひとつはブドウ。
果実がたわわに実ることから五穀豊穣を願う持ち物のようです。
もうひとつ、髑髏杖(どくろじょう)
がい骨がついている杖(つえ)です。
すべての悪を防ぎおさえる法具です。
命の大切さをあわらす縁起物でもあるとか・・・。
そして、持物のすべてが、人々を救うためのモノです。
人々のどんな願いも聞き届けられるために、千手観音さまはいろんな道具を用意して、私たちを救ってくださっているのですね。
ちょっと脱線
珍しいのは、意外なことに「合掌ポーズ」は千手観音だけ。
手を合わせる合掌のポーズ。
ご飯を食べる前や、お寺で仏さまにお参りする時にしていますね。
仏教を象徴するポーズですが、この合掌ポーズをする仏像は、千手観音像だけなんです。
もっとたくさんの仏像が合掌していると思ってました。
でも、なんででしょうね~?
これはまた別の時に詳しくご紹介しますね。
千手観音像の手の数、真言(しんごん)とは?
「真言(しんごん)=マントラ」は、仏さまによる真実の言葉・秘密の言葉という意味を持つ、一種の呪文のようなものです。
古代インドで使用されていた、サンスクリット語がもとになっている言葉です。
仏さまごとに真言があり、信仰心を持って唱えることで私たちにあらゆるご利益をもたらしてくれるといいます。
千手観音さまのご真言
オン バザラ タラマ キリク ソワカ
意味は分からなくても、唱えることが大事なのだとか。
一度唱えると、現在の悪が終わり
七度唱えると、生きている間の悪が終わり
千度唱えると、過去に生きていた時の悪も終わる。
すごい力!
千手観音さまは、すべての人々の悩みや苦しみを消し、救ってくださる仏さまです。
信じて唱えることから始めてみましょう。
千手観音さまのご縁日:毎月17日
干支はネズミ年です。
千手観音さまは子年のお守りご本尊なので、子年生まれの人は特に強力なご利益を頂けるかもしれません。
毎日コツコツと唱えて、ぜひ願いを叶えてくださいね。
千手観音像の千本の手は京都、大阪、奈良で見れます
大阪・葛井寺(ふじいでら)
葛井寺の千手観音は40本の大手と、1001本の小手と合わせて1043本の手を持っていらっしゃいます。
座った仏像で、お顔はとても美しく、優しいお姿です。
手のひらには墨で眼が描かれていたことが確認でき、まさに千手千眼!
秘仏なので通常は拝観できませんが、毎月18日に納められている厨子(ずし)が開かれ、その美しいお姿に対面することができます。
奈良・唐招提寺(とうしょうだいじ)
高さが5メートル以上ある大きな千手観音像はスケールの大きいお姿には驚きです。
大手42本、小手911で、合計953本の手を持っていらっしゃいますが、本来は千本あったとされています。
私が一番好きなお寺です。
仏さまもとても素晴らしいです。
京都・三十三間堂(さんじゅうさんげんどう)
三十三間(約120m)の長さを持つお堂。
お堂の中心に安置されている千手観音坐像を「中尊(ちゅうそん)」と呼びます。
中尊の千手観音坐像(国宝)を中心に、左右に500体ずつ、計1,000体の千手観音立像がまつられています(全て国宝)。
1,000体の千手観音にはそれぞれ名前があり、1体1体表情が違います。
自分に似た像や、会いたい人に似た像が必ずあるといわれていますよ。
誰に会えるでしょうか?
探してみましょう。
まとめ
千手観音像についてご紹介しました。
ひとりでも多くの人を救いたいと、千本の手、千の眼で、私たちを見ていて下さる仏さまです。
全国には、多くの千手観音像があります。
ぜひ、わたしの仏さまに出会ってくださいね。
観音さまグループが所属する「チーム菩薩」について詳しく書いています。
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