弥勒菩薩 半跏思惟像|中宮寺と広隆寺の二つの仏像の違いを比較解説

仏さま

仏像の種類は大きく分けて4種類あります。
一番位の高い如来、第2位の菩薩、明王、天部と続きます。
それぞれに役割があり、私たちを救ってくださいます。

第2位の菩薩。菩薩の中にも種類があります。
今回は弥勒菩薩をご紹介します。
なかでも有名な「弥勒菩薩 半跏思惟像」。
詠み方は みろくぼさつはんかしゆいぞう、みろくぼさつはんかしいぞう
台座に座り、右手の指を頬にあて、物思いにふけるようなお姿は、一度は見たことがあると思います。
国宝に指定されている、奈良・中宮寺と京都・広隆寺ある半跏思惟像は、どちらも美しく、よく比較される仏さまです。
二つの弥勒菩薩の違いを解説していきます。



弥勒菩薩半跏思惟像|弥勒菩薩とは?

弥勒菩薩(みろくぼさつ)は、「弥勒(みろく)」という名前の「菩薩(ぼさつ)」です。

釈迦如来が入滅した56億7千万年後に、如来となって人々を救うことを約束されている仏さまです。
今は、釈迦如来の後継者として、より良い仏になれるよう努力を重ねています。
菩薩は如来になるために修行しつつ、人々を救ってくださる仏さまです。

如来になるまでには、52の修行のステップがあるとされています。
弥勒菩薩はどれぐらいのレベルにいるかというと、レベル51。
あと1レベルで如来になれる、高いところに位置しています。
とても優秀な菩薩さま。
そして、如来になることが約束されている菩薩さまなのですよ。
それも、56億7千万年以上未来に!

菩薩については以前に書いていますので、下の記事を読んでみてくださいね。



弥勒菩薩半跏思惟像|名前の意味や特徴

 

詠み方は みろくぼさつはんかしゆいぞう、みろくぼさつはんかしいぞう
漢字ばかりが続く長いお名前ですが、意味がありますよ。
ひとつひとつ見てきましょう。

お名前の意味

弥勒菩薩半跏思惟像は
「弥勒(みろく)」という「菩薩(ぼさつ)」が「半跏思惟(はんかしい)」している「像」という意味です。

次に「半跏思惟」
右足を左の太ももに乗せて足を組む形を「半跏(はんか)」と呼びます
「思惟(しい)」は深く考えることを意味します。

全部まとめると
弥勒菩薩半跏思惟像は、「弥勒菩薩が足を組んで深く考える像」という意味になります。

漢字ばかりで非常に読みにくいでが、お名前にはちゃんと意味があるんですね。
どこかのテレビ局にも、お名前に関する番組がありましたね。

名は体を表す。。。
名前はその物や人の性質や実体をよく表すものだということ。

なるほど納得です。

特徴:お姿

このお姿、本当に素敵です。
足を組み、折り曲げた右膝頭の上に右肘をつき、右手の指先を軽く右頰にふれたお姿は、人々を救う方法を考えていらっしゃいます。
頬に触れる指先もしなやかで美しいです。
この手のかたちを思惟相(しいそう)と言います。

特徴:お顔

やわらかなお顔立ち、目を伏せながら優しい表情をされています。
頬に触れる指先もしなやかで美しいです。
口元に穏やかな微笑みを浮かべているように見えることから、アルカイックスマイルとしても有名です。

アルカイックスマイル
古代ギリシアの彫像に見られる表情
顔の感情表現を極力おさえながら、口元だけは微笑みの形を伴っているのが特徴で、生命感と幸福感を演出するためのものと見られています。
特に中宮寺の弥勒半跏像の美しいお顔は、ほほえみの仏さまとして世界的にも絶賛されていて、エジプトのスフィンクス、レオナルド・ダ・ヴィンチ作のモナリザと並んで「世界三大微笑像」と呼ばれています。

中宮寺の菩薩半跏思惟像は、直接お目にかかったことがありますが、本当に美しくて、いつまでも拝んでいたい仏さまでした。



弥勒菩薩半跏思惟像|二つの弥勒、違いを比べてみましょう

中宮寺と広隆寺の二つの弥勒半跏像は、日本で一番有名な弥勒菩薩像といえると思います。
半跏思惟でほほえみを浮かべる姿は似ていますが、少し違いがありますよ。

奈良・中宮寺の弥勒半跏思惟像


特徴は、お団子ヘアー、かわいいですよね。
丸く2つに結った髪型を双髻(そうけい)といいます。
「双髻弥勒(そうけいみろく)」という別名もあるそうです。

弥勒菩薩は出家前のお釈迦さまの姿で表されます。
出家前のお釈迦さまは王子であったため、髪を大きく結い、アクセサリーをつけていました。

弥勒半跏思惟像が作られた当時は、宝冠や腕・胸飾りなどの華やかなアクセサリーを身に付けていたそうです。
今は永い年月がたち、下地の漆だけの姿になっています。
私は黒く艶やかな今の「双髻弥勒(そうけいみろく)」の方が、素敵だと思います。
ほほ笑む姿も、頬にあてた指先の美しさも、物静かな印象があり、味わい深い仏さまだと思います。

中宮寺の弥勒半跏思惟像
文化財指定:国宝
制作年代:飛鳥時代(7世紀)
材質:木造(クス)
総高:167.6cm(光背含む)

中宮寺
聖徳太子が創建したといわれているお寺です。
現在は法隆寺の夢殿の隣にあります。
住所:生駒郡斑鳩町法隆寺北1-1-2
交通:JR法隆寺駅から車で約5分



京都・広隆寺の弥勒半跏思惟像

広隆寺には二体の弥勒菩薩がいらっしゃいます。
通称:宝冠弥勒、泣き弥勒

宝冠弥勒
特徴は、冠をのせています。「宝冠弥勒」
広隆寺の弥勒菩薩は頭に宝冠があることから別名「宝冠弥勒」と呼ばれています。

弥勒半跏思惟像が作られた当時は、金箔が貼られ、胸飾りや天衣もある華やかな像だったようです。私は今のお姿の方が味わい深いと感じています。
京都を訪れると、こちらの弥勒菩薩に会いに行きたくなります。
そのお姿に、いつも時間を忘れて見入ってしまいます。

広隆寺の宝冠弥勒
安置場所:広隆寺・新霊宝殿
文化財指定:国宝
制作年代:飛鳥時代(7世紀)
材質:木造(アカマツ)
総高:137,5cm

広隆寺
京都の太秦にある京都で最も古いお寺です。
住所 京都市右京区太秦峰岡町32
交通 京福電鉄 太秦駅からすぐ



まとめ

弥勒菩薩 半跏思惟像についてご紹介しました。
中宮寺と広隆寺の二つの仏像は、世界から美しいと絶賛されています。
飛鳥時代に造られ、永い時代を経て、今の美しい姿を拝むことができるように感じます。
中宮寺と広隆寺の二つの仏像、同じ弥勒菩薩 半跏思惟像でも、違った魅力もあります。

ぜひ、仏さまのほほえみに癒されてください。

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