仏像にはさまざまな種類があります。
今、手を合わせて拝んでいるのは、どなた?
「仏さまの違いがよくわからない・・・」と感じている方も多いはずです。
私もそうでした。
仏像は大きく分けて4種類です。
えらい順にランキングすると、1位は如来。つづいて菩薩、明王、天部になります。
今回は仏さまの世界で第4位の「天部」をご紹介します。
ちょっとお顔が怖い仏さまもいらっしゃいますよ。
特徴や持ち物など、見分けるポイントなどを詳しく解説していきます。
天部の役割と特徴
「天部」の仏さまは、如来、菩薩、明王の下に位置する存在です。
もともとはインドの民族宗教ヒンドゥー教やバラモン教などの神々です。
天の世界に住み、如来や菩薩をしっかると守るボディーガードのような存在です。
護法善神(ごほうぜんじん)ともよばれています。
「天部」はインドの自然なども神としているため、バリエーションが非常に豊富。
個性豊かな仏像が多いのも「天部」の特徴です。
確かに、如来や菩薩とは違います。
男女の区別があったり、動物の姿をしていたり、人の心をとらえる見た目がかっこよい仏像が多いのも天部の特徴だと思います。
グループで仏さまを守っていることが多いのも特徴です。
天部とは? グループがたくさんあります
天部の仏さまはグループに分けることができます。
・二十八部衆(にじゅうはちぶしゅう)
・仁王(におう)
・四天王(してんのう)
・八部衆(はちぶしゅう)
・十二神将(じゅうにしんしょう)
・七福神(しちふくじん)
・その他 大勢
28+2+4+8+12+7+その他
これですでに61以上の仏さま。
大勢ですね~。
グループのなかで、有名な天部の仏さまを詳しくご紹介します。
天部 二十八部衆:梵天・帝釈天
梵天(びんてん)と帝釈天(たいしゃくてん)は、天部界のツートップです。
梵天(ぼんてん)がトップ天部のようですが、二人で阿弥陀如来の脇をお守りしています。
天部の中でも涼しげな貴族的な雰囲気を持っていて、女性のファンも多いみたいですよ。
梵天(ぼんてん)
文人なので、甲冑は身に着けていません。
帝釈天(たいしゃくてん)
武人なので、衣の下に甲冑を身に着けています。
右手には巻物(=報告書)を持っています。
四天王の広目天から人々の善悪の行いが書かれた巻物を受け取ります。
巻物は帝釈天 → 梵天 → 仏さま に伝えられます。
私たちの行いを仏さまに報告してくださっているのです。
清く正しく行動しなくては!
天部 仁王(におう)
口をあけた阿形(あぎょう)、口をつぐんだ吽形(うんぎょう)、2神で一対です。
お寺の山門の両脇に険しい顔つきをしていらっしゃいますよね。
天部 四天王(してんのう)
方角を守る神さまです。
東:持国天(じこくてん)
西:広目天(こうもくてん)
南:増長天(ぞうちょうてん)
北:多聞天(たもんてん)
なかでも一番力があるのは多聞天で、ひとりで祀られる時は毘沙門天(びしゃもんてん)と呼ばれます。
私は毘沙門天の方がなじみがありますね。
天部 八部衆(八部衆):阿修羅(あしゅら)
古代インドの神々が仏教の力にすがり、お釈迦さまの弟子となって、仏の道を守っています。
頭がそのまま動物になっている仏像もありますよ。
歓喜天(かんぎてん)
ヒンドゥー教の神、頭がゾウ。
迦楼羅(かるら)
鳥の顔を持っています。
インドの神話で龍を食べる鳥、ガルーダが由来しています。
ちょっとおもしろくてカッコよく、ゲームのキャラクターみたいに見えてきます。
阿修羅(あしゅら)
もともとは鬼神で、3つの顔と6本の腕をもっています。
奈良・興福寺の阿修羅像は、有名ですよね。
私は、仏像界きっての美少年と思っています。
天部 十二神将(じゅうにしんしょう)
薬師如来(やくしにょらい)を守る12神です。
それぞれ7,000人の部下がいるそうです。
すごい!
(※薬師如来は、私たちの病を治してくださる仏さまです。)
もともとはインドの神々ですが、中国で十二支と結びつき、時や方角を守るようになったそうです。
薬師如来を「医者」と例えると・・・
脇の仏さま、日光・月光菩薩は「看護師」
十二神将は「救護隊員」
「チーム薬師」は、終日・全方位に対応するサポート体制を整え、私たちの健康を守ってくださっています。
ありがたい!
天部とは? 天部の女神さまをご紹介
天部のなかにいらっしゃる有名な女神さまをご紹介します。
弁財天(べんざいてん)
吉祥天(きっしょうてん)
鬼子母神(きしもじん)
天部 弁財天(べんざいてん)
水の恵みをあらわす仏さまで、もともとはインドの「サラバティー(聖なる河)」を神格化したもののようです。
音楽や芸能、福の神、日本では七福神のひとりとして有名です。
琵琶を抱えて演奏している姿がセクシーですよね。
神奈川・江の島の弁財天が有名ですね。
天部 吉祥天(きっしょうてん)
幸福・美・富をもたらす仏さまです。
旦那さまや子どももいますよ。
四天王の毘沙門天(びしゃもんてん)、吉祥天は夫婦です。(マッチョと美女??)
天部 鬼子母神(きしもじん)
安産、盗難などの守り神です。
もともとは鬼人の妻で、500人の子供がいます。
人の子どもを食べる鬼神として恐れられていました。
見かねたお釈迦さまに、自分の最も愛していた子どもを隠されて、子どもを失う悲しみを実感して改心した仏さまです。
手には吉祥果(ざくろ)をもって子どもを抱く姿で表されています。
仏さまにもいろんな歴史がありますね。
天部の仏さま、どこに行けば見れるの?
天部の仏さまに会える旅を企画するのもおもしろいかも。
と思い、有名な天部の仏像が多い、奈良のお寺をご紹介してみますね。
(個人的な好み満載ですが・・・。)
東大寺:戒壇院(かいだんいん)
四天王のひとり、広目天(こうもくてん)がとてもかっこいいです。
顔は三白眼なのに二重で涼しげ。
月日がたち、古く白くなった仏像ですが、色味がまた強く美しく見えます。
持ち物は巻物とふで。
巻物は報告書で、人々の善悪を記録してあり、帝釈天にわたします。
東大寺:三月堂(別名:法華堂)
東大寺最古の国宝建築です。
安置されている10体の仏像すべてが奈良時代に造られた国宝の仏さま。
そして、3~4メートルもある巨大な仏さまなので大迫力!
梵天、帝釈天、四天王も大きくて存在感たっぷり!
おススメです!
三月堂の隣にある二月堂もとても魅力的。
奈良の町を一望できます。
新薬師寺(しんやくしじ)
十二神将仏像を近くでゆっくり見られます。
真達羅(しんだら)珊底羅(さんてら)が、かっこいい!
宝生寺(ほうしょうじ)
ここの十二神将も素晴らしいです。
木とは思えないほどの皮膚の表現、顔の表面に出ている木目がとてもきれいです。
ポーズも人間らしくて生き生きしている感じがします。
まとめ
天部の仏さまをご紹介しました。
仏像を拝むと、そのわきに天部の仏像がいらっしゃることが多いので、よく見てみてくださいね。
八部衆は釈迦如来
十二神将は薬師如来
梵天や帝釈天の所属している二十八部衆は千手観音。
天部がわきを守っているので、少し怖い表情をしている仏さまもいらっしゃいます。
今回はご紹介していませんが、荼枳尼天(ぎだにてん)は怖い!と噂で出てくる仏さまも、本当は慈悲深い仏さまです。
すべての仏さまに役割があり、私たちを守ってくださっています。
「Myほとけ」と思えるような素敵な仏さまに出会えるといいですね。
ぜひ、仏さまに会いにいってくださいね。
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