室生寺金堂の仏像、本尊の釈迦如来は薬師如来だった?特徴を紹介

仏さま

「女人高野」として、古くから多くの女性に親しまれた室生寺の金堂には、釈迦如来立像がまつられていますが、実はもとは薬師如来として信仰されていました。その証が、今もお堂の中に残っています。見ていきましょう。



室生寺金堂の仏像の特徴、本尊の釈迦如来は薬師如来だった?

室生寺・金堂に安置されている本尊は釈迦如来立像(しゃかによらいりゅうぞう)ですが、以前は薬師如来(やくしにょらい)と呼ばれていました。

「如来について」詳しく書いています。
参考にしてください。
釈迦如来立像(藥師如来立像)
国宝
平安時代初期
木造(カヤの一木造)、彩色
像高  約234.8㎝

仏像の特徴1、仏像のかたち

大きな仏さまです。
全体にたくましい体つきです。
頭部は大きく、体の幅も広くて胸やお腹の肉付きも良く見えます。

これを薄い朱色の衣で包んでいます。
その美しい衣の線は、立体感を出すために、彫りの深さ(波)を不規則に繰り返した「連波式衣文(れんばしきえもん)」と呼ばれるもの。
連波式衣文(れんばしきえもん)は、とても珍しい衣文で、室生寺様といわれています。

手のかたちは仏像の種類によってちがいます。
「印」といいます。
右手は施無畏印(せむいいん)(人に力を与える)、左手は与願印(よがんいん)(人の願いをかえる)を結び、薬壷を持たない薬師如来として、古くから信仰されてきました。

背刳り(せぐり)が施されています。
背割りとは、干割れ防止のために仏像の背中からその内部を削り取って空洞にすることです。
仏像の素材は榧(かや)の一本造りです。

仏像の特徴2、板光背

二枚のヒノキ板を用いた国宝の板光背(いたこうはい)にも注目してみてください。

光背とは、仏の体から発せられる光をかたちにしたものです。
一般的な光背は立体的で、周りの部分に文様を彫り出したり、小さな仏を取り付けたりします。

室生寺の仏さまたちの板光背(いたこうはい)は、平らな木の板で作られた光背に、絵具や墨などで尊像や文様を描き表しています。

室生寺金堂の釈迦如来立像(薬師如来像)の板光背には、頂上と左右に7体の薬師如来像(七仏坐像)が描かれていることや、薬師如来に従う存在の十二神将像があることから、もともとは薬師如来であったと考えられています。



室生寺金堂の仏像の特徴、薬師如来や文殊菩薩も魅力的


金堂には、中尊の釈迦如来立像(薬師如来立像)に向かって右側に薬師如来立像(やくしにょらいりゅうぞう)、左側に文殊菩薩立像(もんじゅぼさつりゅうぞう)の三尊像がまつられています。

藥師如来立像
重要文化財
平安時代
木造 彩色
像高 約164.0㎝

檜材の一木造で、両手先のみ別材で後から作られたといわれています。
太い衣文(えもん)を彫り出した厚手の衣を着けていらっしゃるのも特徴的ですね。
金堂の中尊の脇侍のように安置されているが、もとは中尊をイメージしてつくられたとされています。
病から救ってくださる慈悲深いお顔が印象的です。

文殊菩薩立像
 重要文化財
平安時代
木造 彩色
像高約 205.3cm

文殊菩薩と伝えられていれるが、本来の尊名は不明なのだとか・・・。
2mにも及ぶ本像は、背面を別材でつくっていますが、1本の桂材(かつらざい)による一木造に近い構造と丸顔で量感たっぷりの姿は、安定感に富んでいます。
智恵の仏さま、頼れるお姿です。

菩薩について詳しく書いています。↓

その前には、本来は薬師如来に従う十二神将(じゅうにしんしょう)の姿が見れます。
12体のうち6体、(ほかの6体は宝物殿に安置)が思い思いのポースで並んでいます。
薬師如来のガードする十二神将。
平安時代以降は十二支と結びつけられて考えられるようになり、室生寺でもそれぞれに干支の名前がついています。
頭上には愛らしい干支をのせて思い思いのポーズで薬師如来をガードしています。
自由な表現が今にも動き出しそうな神将たちです。
静かな如来と神将は静と動、こんな印象です。
見ごたえある金堂です。

十二神将について参考にしてください。↓

金堂の仏さまは宝物殿に移動
金堂にはその他に、十一面観音菩薩立像(じゅういちめんかんのんぼさつりゅうぞう)、地蔵菩薩立像(じぞうぼさつりゅうぞう)、十二神将立像(6体)が安置されていました。

仏像たちは修復を繰り返しながら、外気の寒暖差と温度変化に耐えて、1000年以上持ちこたえてきましたが、次世代へ受け継ぐためにも保護することが重要と考えて、一部の仏像は宝物殿へ移されています。
近くで見られるようになり、台座の装飾の色や細かな造形までしっかりと楽しめる展示となっていますので、魅力や迫力がより一層、伝わりやすくなったと思います。



室生寺金堂の仏像、金堂の歴史と特徴は?

平安時代前期に建立された室生寺の金堂は国宝に指定されています。
もとは根本堂や薬師堂と呼ばれていましたが、江戸時代に室生寺が真言宗となってからは、金堂と呼ばれています。

寄棟造り(よせむねづくり)、杮葺き(こけらぶき)の金堂は、平安時代の建築で国宝。
山の斜面を利用した懸造(かけづくり)で、正堂部分は平安時代前期(9世紀後半)の建立で、その後鎌倉時代などに大改修が行なわれています。
礼堂は江戸時代に造られています。

礼堂(らいどう):本堂または祠堂(しどう)の前に設けた礼拝・読経のための堂。

「女人高野」として、古くから多くの女性に親しまれた室生寺の金堂には、釈迦如来立像がまつられていますが、実はもとは薬師如来として信仰されていました。
その証が、今もお堂の中に残っています。

礼堂の東西にある板には、薬師如来が持っている薬壺が彫られています。
また、虹梁(こうりょう)といわれる梁(はり)や蟇股(かえるまた)といわれる建築部材にも薬壺を見ることができます。
古くは薬師堂といわれたことから、本尊の釈迦如来は薬師如来だったことが分かりますね。



室生寺金堂へのアクセス

女人高野 室生寺
〒633-0421 宇陀市室生78
tel.0745-93-2003

電車・バスで
近鉄室生口大野駅から
奈良交通バス「室生口大野駅」~「室生寺前」室生寺前バス停下車、徒歩約5分
所要時間 約14分
ドライブで
名阪国道針ICから約16km
駐車場:室生寺駐車場(100台/有料



まとめ

室生寺の金堂、本尊の釈迦如来は薬師如来だった?についてご紹介しました。
室生寺は、女人禁制の高野山に対し、古くから女性の参拝が許されていたことから「女人高野」として親しまれています。
現在でも女性からの人気は高く、春の桜やシャクナゲ、秋の紅葉、さらに屋外では日本最小の五重塔や、やわらかな表情の仏像など、女性の気持ちをなごませてくれるポイントが多いからだとか。

仏像に癒されたいときは室生寺、金堂の釈迦如来や十二神将に会いに行ってみてくださいね。

 



コメント

タイトルとURLをコピーしました